@misc{oai:tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp:00006970, author = {ナベシマ, カズヒロ and 鍋島, 和弘}, month = {Mar}, note = {観光においては、しばしば、訪問客が観光に「教育(学び)」を求めるのか「楽しみ(エンターテインメント)」を求めるのかという二項対立的な問題意識が見られる。観光地で行われている対象物への理解を促進する活動であるインタープリテーションの研究においても、インタープリテーションを教育活動だととらえる立場(Kuo, 2002; Tilden, 1977)がある一方で、とくに観光研究では楽しみと学びの両方役割が求められる(Poria et al., 2007; Ryan & Dewar, 1995)とする、楽しみと教育の両者を二項対立的にではなく融合的にとらえる必要性を示唆する立場もある。このような楽しみと教育が複合したものの概念として、エデュテイメントという言葉があるが、観光分野のインタープリテーションの研究では、この教育と楽しみの関係(エデュテイメント)について詳細に研究した先行研究は見当たらない。そこで本研究では、インタープリテーションの中でも、観光対象の特徴の理解を深めるうえで有効だと考えられ、更に説明者と説明を受ける側間のコミュニケーションが双方向的であり、エデュテイメントの目的にも適していると考えられるため、人によるガイドを対象にする。そして参加者が認識したガイドの特性とガイドツアーのエデュテイメントとしての特性と、ガイドツアーの全体評価(満足度、ロイヤルティ)の関係を明らかにする。更に、その関係性にツアー参加者の個人差が影響を及ぼす可能性を鑑み、参加者がガイドツアー主催者側が考えるガイドツアーの価値をどれほど認識しているのか、「価値共有」という概念を用いて、その認識の度合いによる、ガイドの特性とエデュテイメント、満足度の関係性への影響を明らかにする。本研究では、一部が世界文化遺産にも指定されている首里城の有料区域内で行われているガイドツアーの参加者を対象にアンケート調査を行った。分析では、ガイドの特性については先行研究をもとに設けたガイドの特徴に関する25項目の尺度上の評定値をもとに因子分析を行い、「説明」、「コミュニケーション」、「フレキシブル」、「工夫説明」の4因子を抽出した。また同様にエデュテイメントの特性に関しては、遺産観光におけるモチベーション(Gieling et al., 2016)から楽しみと学び、教育学の分野のエデュテイメントに関する研究(北神, 2000)から、教育に関する項目を設定し、因子分析の結果、エデュテイメントの高度が異なると考えられる「興味・理解」、「専門・娯楽」の2因子を抽出した。これらの2因子は、また価値共有に関してもChaney et al. (2016)をもとに、筆者がガイドツアーの主催者にインタビュー調査を行い、項目を設定し、因子分析の結果、1因子を得た。次にガイドの特性を独立変数、エデュテイメントを媒介変数とし、全体評価を従属変数とした共分散構造モデルを作成した。結果としては、満足度、ロイヤルティともにエデュテイメントの「興味・理解」という因子が正の影響を与えていることが明らかになった。その一方で「専門・娯楽」は、本研究の調査結果からは満足度、ロイヤルティともにパスが有意でなかったため、影響を与えているとは言えなかった。このことから、エデュテイメントの中でも高度が高くない(浅い)エデュテイメントが全体評価に影響を与えていると考えられる。また「興味・理解」と「専門・娯楽」が相関関係にあることも認められた。価値共有の度合いによる影響は、「興味・理解」から満足度については、価値共有が低いグループの方がより強い影響があることが明らかになった。このことから、価値共有が高いグループに比べて価値共有が低いグループには、浅いエデュテイメントがより求められていると考えらえる。また「興味・理解」と「専門・娯楽」の相関の差については、価値共有が低いグループの方が強い共分散の値が出た。このことから、価値共有が高いグループは、「興味・理解」という相対的に高度ではない(浅い)エデュテイメントと「専門・娯楽」という相対的に高度な(深い)エデュテイメントをより異なるものとして認識していることを示すと考えられる。ロイヤルティを従属変数とした時も同じ傾向が見られたが、「興味・理解」から「ロイヤルティ」へのパスでは、価値共有が高いグループと価値共有が低いグループ間の差は有意でなかった。以上より、本研究ではエデュテイメントの側面が、教育、エンターテインメントの両面に分かれて認識されるものだとは限らず、融合した、深さの程度の異なる要因として認識されうるという学術的知見を提供するものであった。また実学的には、「説明力」というガイドの専門的スキルの普遍的な重要性を示すとともに、比較的ガイドツアーに対する価値共有の低い参加者に対する、より具体的なスキルである「工夫説明」の重要性も示した。, 首都大学東京, 2018-03-25, 修士(観光科学)}, title = {参加者の全体評価を高めるエデュテイメントとしてのガイドの特性 : 価値共有を媒介変数にして}, year = {2018} }