@misc{oai:tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp:00006224, author = {イトウ, ダイキ and 伊東, 大輝}, month = {Mar}, note = {組織の硬さは,疾患状態を把握する上で重要な指標の一つである.骨格筋においては,損傷や疾患等による生理・病理的変化が組織の硬さ変化として反映される.肩の損傷は,腕を振るスポーツにおいて深刻な問題となっており,その損傷が原因で満足にスポーツができなくなる場合も少なくない.肩の損傷は回旋筋腱板で頻発し,その中でも,棘上筋腱の損傷が始めに起こることが報告されている.腱損傷は,主に筋疲労の蓄積による筋収縮が原因となって生じる.ゆえに,棘上筋の硬さ評価は,回旋筋腱板損傷の予防や治療効果の判定に役立つ可能性がある.一般的に,組織の硬さ計測には触診が行われている.触診は簡便で非侵襲的に組織の硬さを知ることができるが,主観的である他,体表面に位置する組織に限られる.棘上筋は僧帽筋の下部に位置するため,触診することは困難にある.このような背景の下,近年,生体内の組織の硬さを画像化できる手段として,MRエラストグラフィ(MRE)が開発された.MREは外部から振動を加えながら撮像する技術であり,体深部の組織であっても,非侵襲的かつ定量的に硬さを測定できる.そのため,MREは振動さえ伝えることができれば,触診が困難な組織に対しても,硬さの評価を定量的に行うことが可能である.しかし,現在MREを棘上筋に適応したとの報告は極めて少なく,臨床応用には至っていない.仮に棘上筋MREを実施できれば,回旋筋腱板損傷の予防や治療効果の判定,さらにはこれまで診断が困難であった疾患に,有益な診断情報を追加できる可能性がある.棘上筋MREの実施に向けて,重要なパラメータが3つある.1つ目は振動の検出方向である.振動の検出方向は可視化できる伝播波のパターンを決定する.MREの場合,可視化できる伝播波のパターンが変化すると,弾性率も変化する可能性がある.2つ目は撮像位置である.伝播波を明瞭に画像化するためには,伝播波の進行方向と撮像断面を平行に設定する必要がある.そのためMREでは,撮像対象によって,適切な撮像位置を選択することが極めて重要になる.3つ目は,加振位置である.現在,加振方法はスピーカ及び振動パッドを用いた空気圧によるものが一般的であるが,骨格筋を撮像対象にした場合,部位や個人によって加振対象部の曲率が大きく変化するため,振動パッドの配置が難しい.そこで,本研究は棘上筋MREを実施するために,振動の検出方向と撮像位置,振動パッドの配置位置の3つの検討を行った.本研究の結果,棘上筋MREが実施可能であることを実証した.振動の検出方向に関しては,棘上筋の筋束に対して平行に設定した場合と比べ,垂直に設定した場合には約70%も可視化できる変位量が増加した.撮像位置に関しては,棘上筋の近位側下部に設定した場合と比べ,上部に設定した場合には約40%も可視化できる変位量が増加した.振動パッドの配置位置に関しては,振動パッドを棘上筋の遠位側(上腕骨頭)に配置した場合と比べ,近位側(僧帽筋)に配置した場合には約60%も可視化できる変位量が増加した.可視化できる変位量が小さい場合には弾性率算出に誤差が生じる可能性がある.したがって,棘上筋MREにおいては,振動の検出方向は棘上筋の筋束に対して垂直,撮像位置は棘上筋の近位側上部,振動パッドの配置位置は棘上筋の近位側が適している可能性が示唆された.今後この技術を臨床応用することで,回旋筋腱板断裂等の筋腱障害や筋疾患,またトレーニングによる筋肥大等に対し,硬さという新たな視点からの評価が期待される., 首都大学東京, 2017-03-25, 修士(放射線学)}, title = {棘上筋 MR elastographyの開発}, year = {2017} }