@misc{oai:tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp:00004553, author = {イチコ, タロウ and 市古, 太郎}, month = {Feb}, note = {本研究は、都市化社会から都市型社会への社会変化に伴って、既成市街地における都市構造の再構築が必要とされている、という前提のもとに、再構築の中心課題である土地利用計画の今後のあり方を論じるものである。これからの都市型社会においては、既成市街地を対象に、安定した環境で住み続けようとする市民のニーズに応えるための、市民参加に基づいた土地利用計画技術が必要とされている。それは、新市街地を対象に、地権者の開発利益を満足させつつ、広範な住宅需要に対応する都市化社会における市街化計画技術手法とは異なるものである。このため近年多くの都市自治体で、都市計画マスタープランなど、都市空間全体を対象とした、新たな空間の計画化の取り組みを模索してきている。本論は、このような市民参加にもとづく土地利用計画技術について、1992年の法改正に伴う用途地域の指定替えに焦点をあて、基礎自治体における用途地域制度の運用実態の調査と、土地利用・建物GISデータを用いた科学的な分析により考察した。本研究は、全6章で構成している。第1章では、本論における課題の設定と、方法論の特徴を述べた。既成市街地における都市計画の重要課題は、「土地の有効利用」と「環境の悪化防止」のための「土地地利用の計画化」施策である。そこで、本研究で用いる場合の「土地利用の計画化」概念の定義を行った。都市計画制度は、都市空間の変容と都市政策の歴史的変動の中で、生成・発展・継承あるいは衰退していくものである。このため本論は、基礎自治体における用途地域制の運用実態を92年の法改正に伴う用途地域の指定替えの実態から把握し、その課題を整理した上で、用途地域制度による土地利用の規制・誘導の実態を分析する。具体的には、前者は、基礎自治体に対するアンケート調査等、後者は土地利用・建物GISデータをもとに検証するという方法論をとった。第2章では、用途地域制度の沿革と、東京都における運用の経緯を整理した後、自治体アンケート調査に基づき、92年法改正に伴う用途地域指定替えの作業実態を明らかにし、次章以降の空間データを用いた分析の視点の設定を行った。「今回の見直しは原則移行」という方針をもつ自治体が、52自治体中23自治体(43%)であるのに対し、「将来像を考慮して、積極的に指定した」自治体は、9自治体に留まった。96年指定替えで原則外の指定替えを行った地区は、積極的に土地利用のコントロールを指定した地区であると考えられる。そこで第5章において、土地利用の実状と、市街地整備上の課題に照らして、計画論的意図の検討を行った。用途地域の見直し案を作成する時点で、92年法改正で制度化された都市計画マスタープラン策定済みの自治体は2自治体のみであった。つまり、96年指定替えでは、大部分の自治体で、用途地域の見直しがマスタープランの策定に先行して行われていた。しかし実際には、市街地整備方針など、都市計画法上のマスタープランに類するような、任意の計画がすでに存在している自治体が少なくなかった。むしろ、その任意のプランの実現に、新用途地域制度がどれだけ寄与したのか、という視点が、次章に続く土地利用実態の分析の評価として重要であることが明らかとなった。第3章では、土地利用の実態と96年用途地域指定替えとの対応関係を分析した上で、対象自治体の都市計画マスタープランや、都市整備方針等の策定状況と内容に照らして、考察を加えた。第一に、96年用途地域指定替えと、見直し作業時の土地利用との関係の分析を、東京都の西部の4区を対象に行った。(日)住居系用途地域の原則移行の運用により、住居系土地利用純化の方向性と、(月)ガワーアンの都市構造を肯定化する方向で原則外の見直しが行われたこと、が明らかとなった。分析結果から、本来ならば、原則外移行となっていたであろう地区で、住機能の保全の目的のために原則移行の指定を行っていたことが、推察された。同時に、土地の高度利用と用途地域制度の関係について、これまで算出されてこなかった指建物カテゴリー別容積率をGISデータより算出し、分析した結果、東京都の指定方針でも強調されている、地区計画制度等との連携により、その地区の「土地の有効利用」の空間イメージに基づき、適正かつ実現可能な容積率と土地利用のルールを、地区のスケールで設定していく方向性が導き出された。第4章では、GISデータにより、1986年、1991年、1996年の土地利用変化を、96年用途地域指定替えとの関係で分析した。その結果、自治体スケールで見れば、80年代後半は副都心周辺の、住居系用途地域に指定されている非幹線道路沿道地区での事務所建造物混入が顕著であるのに対し、90年代前半は、区部中心部では相対的にみて沈静化し、逆に郊外区では住居系市街地における業務・商業系土地利用の混入が生じていることが明らかとなった。そして、建物カテゴリー別に用途地域規制が及ぼす影響を、GIS手法の特徴でもある空間的分布からの分析を踏まえて、考察を加えた。これによって、用途地域をベースとし、実際に変化が生じている地域で、用途地域制度を補完する地区スケールでの計画技術の必要性を明らかにした。第5章では、規制強化型の指定替えが行われた地区を、積極的な市街地コントロールを志向した地区として、その指定をめぐる運用上の諸条件を整理した。結果として、(日)東京都全域を対象として二種住専から二種低層の規制強化型の見直し地区の抽出を行い、二種住専から二種低層への見直しは、土地利用現況および計画意図によって、「(特)既存住環境保全型」、「(監)農地→市街地コントロール型」「(企)空地→市街地コントロール型」の三つに類型化して考えられること、(月)(特)型について、都市整備方針における住環境保全の方針と、安定した環境に住み続けるため、住環境を維持・保全したいという建築協定などの住民の合意に基づいている点を整理し、既成市街地における土地利用の計画化の一つのあり方であることを明らかにした。第6章は、得られた知見に基づき、既成市街地における土地利用の計画化方策として、明確で明確な、公表された詳細な計画が必要であること、その計画策定にあたり、与えられた状況においていくつかの選択肢の中から施策を絞り込むための根拠を提供する調査とプロセスを内包すできであることを論じた。そして、GIS手法を用いた調査方法と計画プロセスの提案を行った。, 東京都立大学, 2000-02-17, 博士(都市科学), 甲第551号}, title = {GIS分析による用途地域制度の運用実態と土地利用の計画化方策に関する研究}, year = {2000} }