@article{oai:tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp:00002427, author = {石原, 俊 and 小坂, 亘 and 森本, 賀代 and 石垣, 篤}, issue = {33}, journal = {小笠原研究年報}, month = {May}, note = {小笠原諸島は、日本におけるエコツーリズムの先駆的な実験場として知られている。エコツーリズムは、環境保全と観光開発の両立だけでなく、地域社会の歴史的・社会的状況に根ざした両者の有機的な結びつきを目指す思想である。本稿は、小笠原諸島のエコツーリズムがいかなる歴史的・社会的状況や環境認識のなかから立ち上げられ、その方向性をめぐってどのような試行錯誤が行われてきたのか、あるいはその展開過程で地域社会がどのような可能性や困難を抱えてきたのか、さらにはいかなる問題が残されているのかについて、行政関係者や観光業者へのインタヴュー調査に基づき明らかにする。具体的には、小笠原諸島のエコツーリズムをめぐって、ローカルな歴史的・社会的状況に根ざした知識や実践が、古い「都市の理論」としての開発主義的な観光の論理や、新しい「都市の理論」としてのグローバルな自然環境保護の論理との関係においてさまざまな葛藤を抱えながらも、地域社会の試行錯誤のなかでいかに固有の環境保全の価値観へと生成しえたのか/しえなかったのかを、「東京都版エコツーリズム」のなかでも地域社会内部で最も争点が顕在化した「南島100人ルール」を主たる対象として、社会学的に検討する。「南島100人ルール」をめぐる具体的な分析を通してみえてきたのは、いわゆる「南島ルール」は何のためのルールなのか、「自然」の「保全」を前提とする「利用」というきわめて抽象的で曖昧なコードの存在を別にすれば、その具体的な価値や目的が地域社会で共有されていないということである。歴史的経験や日常生活のなかで小笠原諸島の自然環境とつきあいつつ、それを観光業に利用してきた地域住民たちのなかには、自分たちが培ってきた環境認識との具体的な接点を「南島ルール」に見出せていない人が少なくない。また研究者や観光業者などの間からは、「100人ルール」に対する科学的疑義も表明されている。それらの背景として、小笠原諸島をめぐる歴史的・社会的状況のなかで培われてきた環境認識が、エコツーリズムの実践のなかから排除され、不可視化されがちな現状がある。今後求められるのは、小笠原諸島におけるエコツーリズムの具体的な価値や目的をめぐり、「自然・歴史・文化など地域固有の資源」に関する「教育」や「学習」を通して葛藤をも恐れぬ討議が活性化すること、すなわち都市の側から提示されるエコツーリズムの理念が抽象的に掲げてきた「自然」「保全」「利用」の内実そのものが、小笠原諸島の重層的で複雑な歴史的・社会的経験に照らして<草の根>から(再)検討に付されることだと思われる。}, pages = {7--25}, title = {小笠原諸島のエコツーリズムをめぐる地域社会の試行錯誤 : 「南島ルール」問題を中心に}, year = {2010} }