@misc{oai:tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp:00007884, author = {ハベ, テツシ and 波部, 哲史}, month = {Mar}, note = {我々は磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)を用いたMR Elastography(MRE)によって大腰筋の弾性率を測定し,腰痛の原因とされる「筋硬結」を評価するための技術開発を行っている.厚生労働省による調査では,腰痛の症状を訴える人の数が非常に多いことが報告されており,腰痛は大きな社会問題になっている.椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など画像診断等で原因を特定できる腰痛(特異的腰痛)は腰痛全体の15%程度であり,その他85%は厳密に原因を特定できない腰痛(非特異的腰痛)であるとされている.すなわち腰痛のほとんどは原因を特定できていないということが現状である.非特異的腰痛の原因として,職業姿勢や身長などが挙げられるが,近年筋肉の性状と腰痛の関連性についての調査が進められている.その中で大腰筋の過度な緊張による「筋硬結」が腰痛の原因として示唆されている.「筋硬結」を評価する方法として触診や筋硬度計があるが,大腰筋は深部に位置する筋肉であり,これらの方法で定量的に「筋硬結」を評価することは困難である.MREは撮像対象に振動を加えながら撮像を行うことで,その振動をMR位相画像でwave imageとして可視化し,振動波の波長から弾性率を算出する技術である.そのため撮像対象に振動を伝えることさえできれば,MREは深部の組織でも非侵襲的かつ定量的に「筋硬結」を評価できる可能性を有する.先行研究から大腰筋を効率良く振動させる機序は次の①から③であることが分かった.①背側から腰椎直上に振動子(加振パッド)を配置する,②加振パッドからの振動によって腰椎を振動させる,③腰椎の振動によって大腰筋を振動させる.腹臥位では背側から腰椎直上に加振パッドを配置することが容易である一方で,大腰筋付近に存在する腸管のガスが大腰筋内の伝播波に影響を及ぼす.本研究では大腰筋MREに対して腸管のガスが与える影響の検討と,その影響を低減させるために撮像体位の検討を行った.撮像にはGradient-echo type multi-echo MREシーケンスを使用し,axial断面において腹臥位,仰臥位でそれぞれ撮像を行った.axial断面で撮像を行うことで,左右両方の大腰筋を1度に観察可能である.振動周波数は75Hzで加振方法は音圧式を用い,加振パッドはどちらの体位でも腰部背側に配置した.それぞれの撮像体位で得られたwave imageにおける大腰筋内の伝播波の進行方向が明瞭であるか,そして振動波形から振動強度を比較した.MREの画像処理にはMAYO CLINICのMRE/Waveを使用した.本研究の結果,以下の2つの結果が得られた.①腸管のガスが存在していると,大腰筋内の伝播波の振動強度が小さくなった.②仰臥位でMREを実施することで大腰筋内の伝播波の進行方向がより明瞭になった.まず①の結果を考察する.その理由として,大腰筋と腸管のガスの音響インピーダンスが大きく異なることによる大腰筋と腸管のガスとの境界での反射が考えられる.MREで可視化される伝播波はせん断波であり,空気中では伝播しない.そこで腸管のガスの音響インピーダンスを「O」と仮定すると,大腰筋と腸管のガスとの境界における伝播波の反射率は,その計算式より「-1」となる.これは大腰筋から腸管のガスに進む伝播波(入射波)はそれらの境界において「位相が反転し,全反射する」ことを意味する.この反射波は位相が反転しているため,入射波と干渉することで大腰筋と腸管のガスの境界付近では振動強度が減少したと考えられる.次に②の結果を考察する.その理由として,仰臥位では腸管のガスが上行結腸や下行結腸から横行結腸に移動しやすくなったことが考えられる.腸管のガスは腹臥位では上行結腸や下行結腸に停滞しやすい.そのため腹臥位では大腰筋の側に腸管のガスが存在した状態になりやすい.よって,仰臥位では上述した反射の影響を低減できたため,大腰筋内の伝播波の進行方向がより明瞭になったと考えられる.大腰筋MREを安定して行うためには,仰臥位における撮像が適していると考えられる.今後,本手法によって多くのボランティアの弾性率を測定することで,原因不明とされる非特異的腰痛の診断に新たな知見をもたらすことが期待される., 首都大学東京, 2019-03-25, 修士(放射線学)}, title = {安定した大腰筋MR elastography技術の開発}, year = {2019} }